新任教員紹介 加納 隆 教授 『医療安全に工学技術を生かす』

DSC 5401編集 新任教員紹介 加納 隆 教授 『医療安全に工学技術を生かす』加納 隆 教授

学位など:博士(学術)/臨床工学技士/                  第一種ME技術者/臨床ME専門認定士
専門分野:臨床工学、医療機器安全管理、医療電磁環境(EMC)

略歴
1973年上智大学理工学部電気電子工学科卒業後、三井記念病院MEサービス部主任臨床工学技士を経て、2004年博士(学術)を取得。 その後、埼玉医科大学保健医療学部医用生体工学科教授、同大学大学                院医学研究科医科学専攻教授を兼任、2017年4月から本学教授

 

『医療安全に工学技術を生かす』

-医療現場と工学を橋渡し-

私は大学の工学部を卒業してから、縁あって都内の病院に就職しました。
まったく異例のことでしたが、卒研でお世話になった先生がその当時、超音波の医学応用についての研究開発を行っていたことがこの道に入るきっかけとなりました。
後にも先にも医療機器メーカーに就職する先輩後輩はいても病院に就職する者は皆無に近かったですし、未だに工学部と医療現場の距離は遠いと言わざるを得ませんが、臨床工学技士が誕生して、その間の橋渡しになる人材が登場したと言えるのではないかと考えています。

新たな医療機器を開発する場合、従来から医師と工学者が協力・連携して行っていましたが、必ずしも十分な意思疎通ができていたとは言えないと思います。
医師からのニーズは医療におけるニーズを代表していることは確かですが、実現性、経済性、安全性などの具体的な問題、それも特に臨床工学的な知見が必要なことについては、必ずしも的確とは言えません。
この両者の間に入って、通訳的な役割を果たすのが臨床工学技士だと考えています。

 

-安全性を保てる医療機器の開発-

私自身、様々な研究開発に関わってきましたが、その多くは医療機器や設備環境の安全性の向上に関する研究です。
市販されている医療機器は定められた安全基準を皆クリアしていますが、実際の使用環境において全く安全性に問題がないかと言えば、それは否です。
過去の医療事故の苦い経験から、それを克服する形で進化してきたことは認めますが、まだまだ不十分と感じています。
また、よく医療機器の故障が原因の事故は少なく、操作ミスによる事故が多い、だからしっかり使用者教育しなくてはならない、と言います。
確かに教育は重要ですが、しっかり教育をしなくては安全性が保てない医療機器も問題ではないでしょうか。
ある社会学者の先生が「人のせいにするな、物のせいにせよ」と言われていましたが、私も全く同感で、とことん安全な「ものづくり」を究めて行きたいと思っています。
そのためには良き研究開発パートナー(その多くは企業の方々)との出会いは必須で、最終的な製品化まで辿り着くためになくてはならない存在です。
私の研究開発に関するポリシーは、「製品化するところまで行かないと意味がない」で、医療関連製品の開発は実用化され医療現場で役に立つまでの見通しが重要です。
それがなければ企業の方々の心は動かせないと思っています。

 

-産学連携で医療安全の向上を目指す-

私が関わった最近の産学連携成功例には、前任校である埼玉医大と大成建設が共同開発した「電波を利用した医療機器所在管理システム」がありますが、これはさらに既存の機器管理データベースシステム(フクダ電子)との連携システムの製品化に繋がりました。
また、埼玉医大と日立システムズが共同開発した「生命維持装置の遠隔一元監視システム」では、当時の私の研究室と国際医療センターMEサービス部(臨床工学部門)による臨床工学的評価が製品化への大きな力となっています。
このように、多くの方々とともに医療安全の向上につながるものを製品化することは至上の喜びですし、今後とも医療現場に根差した製品開発に努力して行きたいと考えています。

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