新任教員紹介 前倉 亮治 教授 『今までの研究の流れと今後の抱負について』

前倉先生編集 新任教員紹介 前倉 亮治 教授 『今までの研究の流れと今後の抱負について』前倉 亮治 教授

学位など:医学博士/呼吸器指導医
専門分野:運動呼吸生理学、呼吸リハビリテーション、          結核・抗酸菌学

略歴
1977年大阪市立大学医学部卒業、医師免許取得後、国立療養所刀根山病院循環器科医長、2006年国立病院機構刀根山病院副院長などを務め、2017年4月から本学教授

 

『今までの研究の流れと今後の抱負について』

-臨床に役立つ研究を目指して-

私は、1977年の大阪市立大学医学部卒業時に、「ベッドサイドで役に立つ研究」がしたくて国立療養所刀根山病院に就職を希望したが空席がなく、刀根山結核研究所(生化学3)大学院博士課程に入学し、「結核菌細胞壁にある長鎖脂肪酸(ミコール酸)の生合成」の研究を始めた。
しかし、1979年には刀根山病院循環器科医師の席が空き就職したが、堀院長の指示で「肺性心」の研修を目的に国立循環器病センター心臓内科研究生となり、臨床医としての指導を受けることになった。

1年後刀根山病院に戻り循環器科医師として多くの呼吸器疾患(結核・呼吸不全など)患者を診察しながら刀根山結核研究所の研究生として基礎研究を継続し、1985年に「Nocardia rubraにおける長鎖脂肪酸生合成に関する研究」で医学博士の学位を取得した。
同年に豊能町健康管理室室長と国保診療所所長として出向し、肺がん検診をはじめ診療所の赤字経営を改善して診療所を建て替えた。ここで地域医療と在宅ケアにおける訪問看護の重要性を学び、1989年に刀根山病院の呼吸不全病棟医長として復職し、慢性呼吸不全患者の呼吸ケアを中心とした臨床研究と抗酸菌の基礎研究を開始した。

 

-呼吸リハビリテーションで患者の生活を改善-

臨床研究(呼吸ケア)は、運動負荷心肺機能検査を用いた「労作時息切れ」の病態解明と「少しでも楽に安心してより長く在宅で過ごすことが出来る」呼吸リハビリテーションの確立を目指した。
1993年から訪問看護を開始し、1996年には呼吸ケア専門の刀根山訪問看護ステーションを設立した。
2002年に作業療法を呼吸リハビリテーションに加えることでCOPD患者の予後を改善することを報告し保険収載された。
「在宅酸素療法症例における介護保険制度の問題点と対策」や「呼吸器疾患の身体障害者認定における障害程度等級と運動機能障害についての検討」を公表し、慢性呼吸不全患者の在宅生活の環境改善に努力してきた。
現在は“Personalized pulmonary rehabilitation and occupational therapy based on cardiopulmonary exercise testing for patients with advanced chronic obstructive pulmonary disease.” を完成させ、「呼吸リハビリテーション症例検討会」を中心に普及に努めている。
さらに東洋医学(鍼灸治療)がより「労作時呼吸困難」を改善し、超重症例でも食欲改善効果があることを発見し、『東西医学のCollaboration』を目指している。

 

-抗酸菌研究を感染症対策に活かす-

抗酸菌の基礎研究(血清診断)では1993年Cord factor (trehalose-6,6'-dimycolate) 抗原とした結核血清診断法を開発し、TBGLキットを保険収載した。
しかし、非結核性抗酸菌症や結核菌潜在感染で偽陽性を示すことから、非結核性抗酸菌症(肺MAC症)に特異的な抗MAC抗体キットを開発し2011年に保険収載した。
現在は、休眠菌感染(潜在感染)や非結核性抗酸菌を鑑別できるキットを開発中である。急速に高齢化が進む日本では、療養型病床、介護施設、グループホームで集団生活する高齢者が増え、また急病で救急病院に救急搬送される高齢者も増加している。
これらの施設では、結核の集団感染を予防するための感染対策が重要になりますが、呼吸器の専門医が不足しており診断の遅れが問題になっている。
開発中の抗酸菌感染鑑別キットが完成すれば、血液検査で結核菌感染の有無が診断でき、専門医でなくても病気の存在を疑い検査を進めるきっかけになる。
血液検査であれば、緊急検査や定期検査に加えても患者負担は少なく、Low costで行うことが可能であり、介護施設や医療現場での感染管理に役に立つと考えている。

最後にお願いですが、長年健康のために続けてきたテニスが少し上達してきたので、
体調を整えてシニアの大会に挑戦しようと考えています。残り少ない年寄りの最後の挑戦ですので、暖かくお見守りお願いいたします。

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