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医療マネジメントセミナー(平成26年度  第1回)

医療マネジメントセミナーを開催(平成26年度第1回)
~医療の再生を考える~


 滋慶医療科学大学院大学と滋慶医療経営管理研究センター主催による「医療マネジメントセミナー(平成26年度第1回)」が5月25日(日)に、大阪市淀川区の同大学院で開かれました。武田裕・同大学院学長(以下武田氏)は「医療機関の再生の必要性」と題して、齋藤清一・日本病院人事開発研究所代表幹事(以下齋藤氏)は「医療機関の人事改革」と題して講演、それぞれ病院を取り巻く環境変化への対応策を示唆しました。



―在宅医療の方向~かかりつけ医はゲートキーパーに―


 武田氏は、この先10年ほどで団塊世代が75歳以上となるなど少子高齢多死社会の到来を見据えて、「急性期医療提供の再編成と在宅医療を活用して、満足度が高く、かつ効率的な医療」を目指すのが、今後の社会保障改革の方向と説明。そのためには「かかりつけ医が、総合的にゲートキーパーになるべき」として、大病院での一般外来の縮小、主治医機能を評価する、という平成26年度の診療報酬改定のポイントを説きました。


 また、診療報酬制度について、今後は「現在の出来高払い方式から、包括請求(DPC)と成果主義診療報酬を組み合わせた“ハイブリッド型”になっていくでしょう」と予測しています。そのためには「医療行為のパフォーマンス(成果)を評価する測定システムが必要になる」という。




―効率経営と良質医療の両立―


 そうした方向感のもとで、今後の病院は「効率的な経営と良質な医療サービス提供(機能)の両立を目指すべき」という考えを示しました。この両立は「一見矛盾しますが、これをバランスよく遂行するために必要なのが“マネジメント”」だという。



―サイバネティック・マネジメントを提唱―


 そして、武田氏は、患者中心の医療へのシステム作りとして、サイバネティックスの考え方を導入した『サイバネティック・マネジメント』を提唱しています。

(注)サイバネティックス=米国の数学者・ノーバート・ウィーナーが1947年に提唱。ギリシャ語の技、舵取りを意味する。通信、制御、情報処理を融合・統一的に扱う総合科学。情報をどのように伝え、どのように処理をして、その結果、どのようにコントロールしているかが重要とされる。

 これを医療業務に当てはめると、患者⇒情報収集⇒意思決定(診断)⇒行為(治療)⇒記録(電子カルテ)~という流れになる。そこで、業務処理においては「効率経営と良質機能を両立する意味でも、情報系と勘定系の共通のデータベースが必要になる」というのが武田氏の主張です。




―なぜ今、病院の人事制度改革が必要なのか―


 齋藤氏は、「なぜ今、病院の人事制度改革が必要なのか」をテーマに、人事と賃金の問題について、民間企業などと比較しながら、病院の意識改革を訴えました。一般論ですが、「病院は民間企業と比べると、職員のモチベーションが低い。専門性を優先する余りに、マネジメントを軽視する傾向がある」と、組織風土の違いを指摘しました。




―人事は経営そのもの~新たな人材戦略―


 優秀な企業には、しっかりとした経営理念があり、ドメイン、ビジョンが明確だという。「人事は経営そのもので、経営理念の具現化に始まる。理念をどのように行動に移すか、が重要」だと、齋藤氏は説いています。そして、新たな人材戦略が必要だとして、例えば「病院の事務長は事務職から登用するとは限らない。まずは、こうした発想を持って欲しい。優秀な人材を充てることが大事で、看護師、放射線技士他から登用するなど、広い視野を持つべき」だという。



―柔軟で創造的な人材育成―


 実力・成果主義時代の人事制度のあり方として、齋藤氏は「職員の成長に視点をおいて、柔軟で創造的な人材育成によって、労使の良好な協力関係を築くことが大事」だとしています。創造的な人材育成の一例として、「決められた仕事を遂行するだけではなく、医療安全委員会、事務合理化委員会などプロジェクトに参画して、視野を広げ、柔軟な発想を身に付ける機会を設ける」、「看護師の業務を遂行するだけではなく、病床稼働率の動向に意識をするなど、プラスアルファーを評価するといった加点主義人事も必要」だという。




―コンピテンシーによる評価が課題―


 今後、管理者の役割がますます重要となりますが、「コンピテンシー(性格・素質+能力+専門スキル)による評価が課題」だという。産業界、医療界ともに経営環境が厳しくなる中で、「管理者は特に結果を求められる。何をやったのか、数字で評価される時代とも言えます。結果が出なければ部下はついてこない、というのは人事マネジメントの基本でもあります」と説いています。



―適性配置~人材の活性化―


 さらに、上位職になるほどに「知識・技能、判断・決断力に企画力、折衝力、指導力など仕事力に加えて、人間性、気力、体力、社会性など“全人的能力”が必要」だという。そして、協調性、規律性、積極性、責任性など含めて、「適性をしっかりみて配置することによって、人材を活性化することが重要です」と、指摘しています。

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