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武田・新学長、抱負と方針を語る

武田裕 滋慶医療科学大学院大学の学長に武田裕教授(医学博士)が就任しました。2011年4月の開学当初から、医療管理学研究科長として教授会をリードして、新しい学問領域である医療安全管理学の体系化に取り組んできました。武田新学長に抱負、今後の教育方針などを聞きました。



 ―まずは、新学長としての抱負をお聞かせください。

『中長期的ビジョンを策定』

「開学3年目を迎えていますが、大学院運営の問題、研究・教育においても行うことが多々あります。研究科長として実務を中心にやってきましたが、当面の問題を解決するとともに、中長期的なビジョンを策定、戦略を考えて実行に移していきたい」
「医療安全の実践的リーダーの育成、という基本的な教育方針に変わりはありません。医療安全が強く叫ばれて、その活動がわが国で本格的に始まって14年が経ちますが、依然として医療事故は減っていません。従って、患者安全と安心のために、医療の質・安全の向上を究める、という本学の理念の重要性を強く認識しています」



―基本的な教育方針を説明してください。

『ノンテクニカルスキルが大事』

武田裕「本学は病院などに勤務する医療関連職の方々(社会人)に対して、修士取得に向けて、医療安全・患者安心の視点をもって教育し、研究を論文にまとめるわけです。特に、チーム医療など多職種の連携が必要な医療現場においては、コミュニケーション、リーダーシップなど“ノンテクニカルスキル”を備えた管理者・指導者の育成が重要です」
「大学の学部や大学院の教育は医学や看護学など“タテ型教育”ですが、本学では医学、看護学固有の領域はもとより、安全心理学、情報学、人間工学、マネジメント学など“ヨコ型教育”を加味して幅広く学びます。それぞれの職種を理解するとともに、協働を実践する連携プレーを身に付けます。これが医療安全の実践では大切なことなのです」



―開学して2年半ですが、この間の学びの成果はいかがですか。

『滑り出しは順調、修了生は自信』

「今春に1期生の20名が修了したばかりですが、立派な修士論文を仕上げて、多少なりとも医療安全学の発展に寄与したと思っています。その後、研究成果が学会誌などに掲載され、優秀表彰を受けたり、国際学会での発表もありました。社会人学生として、平均年齢は40歳程度ですが、研究へのモチベーションは高い。修了生は自信をつけて、医療現場などで働いています。その意味では、順調に滑り出しましたが、外部評価を受けるには、まだまだ実績を積まなければ、と思っています」



―医療安全の実践的リーダーの育成というのがミッションですが、武田学長のリーダー像、備えるべき条件を教えてください。

『状況認識⇒意思決定⇒伝達⇒検証』

武田裕「第一には“状況認識力”です。五感によって表されるわけで、アナログ、ファジーな要素もありますが、これを見える化としてデータ(誰が見ても分かる)にする。第二は“意思決定力”、見える化されたデータ・状況によって科学的に行動内容・方法を判断する。第三は“伝達力”、判断を他人(チーム)に伝えて、指示する。言うなれば、コミュニケーション力です。第四は“検証力”、プロセスと結果を記録に残して、検証・評価を行い、必要であれば改善します。これらの知識・技能・行動力を備えた、コーディネーター役が求められており、その人材育成は急務です」



―当面の課題と中長期的なビジョンを聞かせてください。

『医療安全教育研究会を立ち上げ』

「開学から、この間は学内での教育・研究を中心にやってきましたが、今後は外にも目を向けて、積極的にアプローチしていきたい。例えば、医療安全教育研究会(仮称)を立ち上げて、他の医療機関や教育機関と連携していきたい。医療安全教育に関する成功事例など集めて、実践的な教育モデルをつくり上げたい」

『医療安全と病院経営のバランス』

「医療安全のなかで医療プロセスに主眼を置いてきましたが、病院のマネジメント、経営管理にも力を入れていきたい。高齢化、膨れ上がる医療費、社会保障政策などの問題から、日本の医療は厳しい状況にあります。病院の経営管理の重要性が増していきます。医療安全と病院経営とのバランスが大事になってきます」




【インタビューを終えて】

―人材育成の信念と情熱―

 武田学長は、大阪大学医学部の大先輩の坂本幸哉・前学長の跡を受けて急遽、重責を担うことになりました。阪大教授時代から、医療情報部長、中央クオリティマネジメント部長の要職に就いて、国立大学病院医療安全管理協議会の会長を務めるなど、医療安全とともに歩んでいます。
 医療情報学が専門で、今や医療に欠かせない電子カルテ、病院システムなどITにも精通しています。医療安全には標準化が必要、PDCAサイクルによる品質管理を提唱するなど、発想力も豊か。患者本位の医療安全の実践には、「幅広い知識とノンテクニカルスキルを備えた人材が必要」との信念のもと、教育を通じて人づくりに情熱を注いでいます。医療安全学を究める、トップリーダーの手腕に期待がかかっています。

(大阪滋慶学園顧問 越智道雄)


武田裕



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