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第9回 医療の質・安全学会~本学発表レポート①~

医療の質・安全学会主催による「第9回学術集会」が11月22日(土)から24日(月)まで、千葉市の幕張メッセで開催されました。今回のテーマは「患者本位の質・安全を追求する 21世紀医療システムの構築に向けて」で、滋慶医療科学大学院大学の教員・院生は一般口演で6件、ポスター発表で11件、国際学会では4件、合計21件を発表しました。今回は一般口演の6件についてレポートします。

―インシデント経験の看護学生には、肯定的な指導―
塩さん塩霧都恵さん(1期生、大学教員)のテーマは「看護学生が臨地実習でインシデントを起こした後の教育的なかかわり―学生サイドからみたインシデント要因と教育的なかかわり―」
インシデントの経験を持つ7名の看護学生に面接調査。分析の結果、インシデントは患者サイド、あるいは学生サイドに起因するが、学生はインシデントの予測、判断ともに困難で、患者の援助に関するイメージや危険予測トレーニングが必要だという。教員や看護師の指導体制にも問題がある。インシデント体験の直後は「動揺や錯乱状態」にあるため、否定的ではなく、一緒に考える肯定的な指導が成長につながる。また、看護学生同士で同じ目線で考え、共有して、冷静にインシデントレポートを書くことも必要。そして、事例を教材化して、リスクセンスを磨くことが大切だと結んだ。

―中堅看護師は役割行動が高いほど、達成感―
浅野さん浅野沙奈絵さん(3期生:看護師)のテーマは「中堅看護師の役割行動化推進に関する研究」                              中堅看護師は現場での中核として、知識・技術の高度化対応による実践が求められ、新人指導を含め負担が大きい。そこで、7病院の146人から得た回答をもとに、役割行動(実践、教育、調整、管理、研究)、師長からの承認、職業性ストレス、バーンアウトとの関係を調査した。
中堅看護師の行動分析では、実践、調整、教育の割合が高く、研究や管理は低かった。師長の承認と比較すると、実践、教育、調整の行動得点が高く、「実際の行動よりも師長から承認されていない」と感じている。看護師にとって師長は職場での重要他者と考えているが、自らの行動と承認には「ずれ」があり、「分からない」との回答を含めて、その要因を追求していく必要がある。また、役割行動と職業性ストレスの関係では有意差はなかったが、バーンアウトとの関係では「役割行動の高い人は個人的達成感を有している」という。

―内容誤りでも修正なし~事故調査報告書―
喜田さん喜田裕也さん(1期生:医師)のテーマは「再発防止を目的とした事故調査報告書のあり方について~医療事故調査66報告書における懲罰性・非懲罰性からの検討~」                                インシデント重症度分類3b以上の有害事象で、インターネットにより56事例・66報告書を収集し、懲罰・非懲罰の扱いを確認して、再発防止を検討した。
結果、当該医療者の懲罰を記した報告書は見当たらない。過失・過誤等の記載があるのは7例。有責判断例は13例あるが、2例には再発防止提言がない。このうち3例は警察介入の契機となり、2例は刑事事件となったが、いずれも医師の無罪が確定した。
医療者による民事訴訟は2例あるが、「事実に反している」「誤っている」という判決。刑事・民事裁判で、内容の誤りは3例あるが、再評価や修正が行われず、再発防止に結びついていない。

―組織マネジメント~医療安全文化の構築―
佐藤さん佐藤有美さん(2期生:看護師)のテーマは「医療安全文化と医療者・患者関係に関する検討」                             医療安全文化の影響因子を明らかにして、イベント(有害事象、ヒヤリハットなど)発生後の患者家族関係の改善に繋がる要因を検討する。大阪府内の約500床の2病院に勤務する医療者1162名から回答を得た。
結果と考察において、医療安全の達成評価には、組織の安全に関する認識や態度、管理体制および継続的なフォローアップなど「組織的マネジメント」が影響する。また、患者家族との関係改善には、「安全に関する総合理解」「残業時間の延長」が影響している。患者家族への真摯な対応を含めて「医療安全文化のシステム構築」が課題となっている。

―院内連携でワークフロー~チーム医療を推進―
半蔀さん半蔀勝さん(臨床工学技士)のテーマは「MRI撮影ワークフローを運用した条件付MRI対応ペースメーカ装着2例の経験」                条件付MRI対応ペースメーカを装着した2例について、院内で関連部署と協議して「ワークフロー」を作成、MRI撮影を行った。
装着によるMRI撮影に設備に問題ないことを確認。循環器医師(検査オーダー方法)、放射線技師(撮影内容)、臨床工学技士(ペースメーカプログラマの操作手順)が連携して、検査オーダー前から撮影後までのワークフローを作成した。1例は予定検査で手順どおりに実施、1例は緊急搬送だったが、当院で植込みしたペースメーカで、記録など確認して実施。結果「医療安全上、問題なく実施」でき、多職種連携による作業を通じて「チーム医療推進の一助になった」という。

―心拍監視モニタアラームの精度向上が課題―
高田さん高田幸千子さん(看護師)のテーマは「心拍監視モニタアラーム種別毎の消音時間と看護師のアラーム対応の調査分析」                  A病院の循環器内科病棟のセントラルモニタにアラーム分析システムを接続して、13日間連続で記録。アラーム対応に関して、看護師25名の行動と根拠を明らかにした。
心拍監視モニタアラームの発生頻度は15秒に1回で、危機的アラームには対応するが、テクニカルアラームには対応せずに放置されている状態。アラームに振り回されている状況のなかで、看護師の対応よりも、アラームの精度向上と不要なアラームの発生防止が課題としている。

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