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医療マネジメントセミナー(平成26年度後期第1回)開催 ~これからの人事制度~

滋慶医療科学大学院大学と滋慶医療経営管理研究センター主催による「医療マネジメントセミナー(平成26年度後期第1回)」が10月12日(日)に、大阪市淀川区の同大学院で開かれました。斎藤清一・同大学院客員教授(以下斎藤氏)は「人事を変える、変えない、これからの人事制度」と題して、相澤孝夫・社会医療法人財団慈泉会理事長・相澤病院病院長(以下相澤氏)は「先進病院の人事賃金戦略」と題して、それぞれ講演を行いました。

齋藤先生  ―病院は人的集約産業~組織をどう集結―
斎藤氏は「病院は、人的集約産業です」として、「そのスタート点は、バラバラな組織をひとつの目標に向けて、どう集結するか。これこそがマネジメント」と説きました。そして「トップの理念や期待像を明確にして、考え方を末端の職員にまで伝達・浸透させることが重要」だといいます。

―期待像を明確に~絶対基準が必要―
多職種で構成される病院では「多様な人材が多様な価値観で働いているだけに、個々の期待像を明確にした上で、絶対基準が必要」と指摘しています。例えば、等級基準として職種別・等級別の期待像、職務基準として期ごとに一人ひとりの期待像、職群別の期待像をそれぞれ明示して、“チャレンジ基準”を設定。これに基づいて、充足度、達成度、適応度によって評価を行います。

―人事考課とコンピテンシー―
その一方、社会的背景、医療を取り巻く環境の変化によって、「人事制度も時代とともに変えていかなくてはならない。特に管理職の登用に当たっては、慎重な見極めが必要」といいます。新しい価値創造に向けて「人事考課とコンピテンシー評価をどうするかがこれからの課題」となります。「組織人として立派かというのは、人事考課で判断。社会人・人間として立派かというのは、コンピテンシー評価で判断する」といいます。

―トップはロマン、理念を明確に―
例えば「手術する力はすごいが、人間性は劣るという人は管理職には向かない。看護師(療法士など)として優秀で、加えて人間性も素晴らしく、配慮もできるといった人は、思い切って事務長に抜擢する。事務長は事務部門からといった固定観念は捨てるべき」だといいます。また、「あなたの部下になりたい」と思わせるような管理職が理想で、斎藤氏は「トップはロマンを語り、理念、ビジョンを明確に示すべき」と持論で結んでいます。

相澤先生①―病院も介護体制、在宅医療を考える時期―
相澤氏は、相澤病院が立地する長野県・松本の医療圏を展望して、「医療と介護の総需要が増えるなかで、高齢化に伴って介護の需要が高まっていく。急性期だけでは、やっていけない。病棟・施設のあり方をどうするか。病院も在宅医療を真剣に考える時期に来ている」と問題提起して、「医療と介護の提供体制の見直しなどスケジュールを念頭において進めていく必要がある」と注意を喚起しました。

―変化を先取りして行動―
病院を取り巻く環境が激変する時代において、「変化に対応できる組織文化の醸成が課題」だと指摘しました。とりわけ相澤氏は「変化に合わせるより、先に対応、変化を先取りする姿勢・行動が必要」だとして、「イノベーションのためのビジョンをどう作るか。決断が大事だ」と強調しました。

―人事改革できなければ、経営革新はできない―
そして「経営革新には人事システムの改革が必要。(逆に言えば)人事システムの改革ができなければ、経営革新はできない」と断言しました。病院のミッション、ビジョンの実現に向けて「病院(トップ)と職員の一体化、ベクトルを合わせた一体感のある経営を実践すべき」といいます。

―人材マネジメントが重要―
そのためにも「組織を構成する人材マネジメントが重要」で、人材育成の仕組み、自己実現の方法、公正な処遇、ヒトを大切にする姿勢を明確にして、「どんな医療を、どんな機能で、どんな人が、どのように働いて実現するか」について、職員に納得してもらう必要があります。「職員共通の判断基準、価値基準が意思決定の拠り所」だともいいます。

―評価は人材育成のツール―
人事制度に関しては「考課はなるべく簡単に、評価は目的ではなく、教育・育成のためのツールであって、能力開発をして、より高いレベルの仕事にチャレンジしてもらう。評価をどう適用するかが大事」だといいます。もとより、「そのときの病院にとって、何が重要か」によって、考課・評価は毎年変わるといいます。

―コア人材の育成~経営の鍵―
そして、目下は「コア(中核的)人材の育成が重要課題」だといいます。コア人材には、マネージャー(管理職)とスペシャリスト(高度専門職)の2つのタイプがあり、それぞれ「必要な経験を積む」、「知識を高めて経験を重ねる」というキャリアパスが必要となります。まさに「コア人材は競争優位に立ち、経営の浮沈を握る」といっても過言ではありません。

―人事は生き物~柔軟さが必要―
「変革の時代に求められる人材像を明示して、自立と自律が備わったプロ人材、未来を創出するコア人材をどう育てるか」「“人事は生き物”、知恵と戦略を持って、そして“柔軟さ”が必要」と結びました。

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