トップ > ニュース > 医療マネジメントセミナー(平成26年度後期第2回)開催 ~これからの人事制度~

医療マネジメントセミナー(平成26年度後期第2回)開催 ~これからの人事制度~

滋慶医療科学大学院大学と滋慶医療経営管理研究センター主催による「医療マネジメントセミナー(平成26年度後期第2回)」が11月9日(日)に、大阪市淀川区の同大学院で開かれました。斎藤清一・同大学院客員教授(以下斎藤氏)は「育成型加点主義、人事賃金制度の新展開」と題して、古城資久・医療法人伯鳳会、社会福祉法人大阪暁明館理事長(以下古城氏)は「危機管理を乗り越える病院の人事賃金戦略」と題して、それぞれ講演を行いました。

齋藤先生―どのような行動~コンピテンシーが大事―
斎藤氏は、前回(10月12日)は「病院全体の組織と人事のあり方」など総論的に述べられましたが、今回は「人事考課、コンピテンシー評価の導入」など各論を交えて、人材育成の重要性を説かれました。
まず、能力と実力の解釈について、能力とは「何々ができる(コンピテンス)」ということで、「知識、技術を習得していても、陳腐化、体力・気力の低下、行動特性の劣化を招く。能力は使わないと意味がない」。対して実力は「何々の行動を取っている(コンピテンシー)」ことであって、実証的能力(高成果実現行動特性)」の意味です。つまり、「どのような行動を取っているか」が重要であって、今後は「コンピテンシー評価を導入していくことが求められる」といいます。

―職務・役割の方向を明確に―
コンピテンシー評価の導入に当たっては、「成果行動を明示することによって、職務・役割の方向付けを明確にする必要がある」といいます。斎藤氏は、コンピテンシー評価は「評価の中身が日常業務に密着しているので、評価しやすい」、「項目ごとに具体的な指示ができ、能力開発に有効」、「経営理念や戦略にマッチした評価ができる」、「目標とする理想的な職員像を育成できる」「コンピテンシーを軸に、昇格、昇進、賃金など制度化できる」などのメリットを挙げています。

―個を活かす~加点主義が大事―
そして、人材育成の観点からは「“加点主義”人事を進めていくことが必要」だといいます。従来の日本は“減点主義”だったが、組織の活力を高めていくには「個を活かす」「出る杭は育てる」という組織風土によって、人事評価(考課)を進めていくべきだと説いています。
職務や職責に応じて役割を決めて、“チャレンジ目標”を設定するシステムを導入して、チャレンジを高く評価する『加点主義の人事制度』を提案しています。そのためには、公募制度、自己申告制度、アセスメント(評価の位置づけ)、面接制度(目標設定)、複線型昇進制度―などの整備が不可欠となります。加点主義の人事制度を導入して、人事考課と公正な評価によって、管理職なのか専門職なのかーなど適正な人事配置を促すことが重要だと結んでいます。

古城先生―危機を打開した秘訣とは―
一方、古城氏は、「危機管理を乗り越える」という講演テーマにあるように、まさに強いリーダーシップによって、実践してきた体験談を語りました。赤字の病院を次々に買収しては、黒字に転換させていった秘訣は何なのでしょうか。

―40歳で事業承継―
古城氏は1999年、40歳にして父親の死去に伴い、赤穂中央病院の事業を承継しました。その時点で2年連続しての赤字、収入よりも借入金の方が多く、資金繰りに苦慮していたといいます。原因は、過剰な設備投資、その後2005年、2006年、2010年、2012年と、放漫経営、本業不振、人手不足などで赤字や倒産状態に陥った病院を引き受けて(買収)いきました。

―財務など情報をすべてオープンに―
いずれの場合も、「急速な経営の回復を図る」ことを前提に、以下の3点を徹底したといいます。医師をはじめ職員全員に対し、最も大事なのが「財務内容をすべて開示する」、そして「経営破綻の原因を特定して説明する」、さらには「経営改善計画を示して、コミット(約束)する」。もとより、職員の部屋の照明は落とす、節水など、涙ぐましい経費削減、意識改革も徹底しました。

―職責と業績の関係は?―
一般的に経営不振の病院の場合、共通しているのは、職員は「自分に責任の一端があるとは思っていない」。そして「自らの職責と病院の業績は関係がない」、「経営を考えるのは自分の仕事ではない」と思っています。その一方で、職員は「病院の将来に強い不安を抱いている」、「自己の生活防衛に敏感になっている」、「疑心暗鬼に陥り、職場の雰囲気が悪い」といったことに集約されます。

―将来像を示し、各人のやるべきことを明示―
こうしたことを打開するため、古城氏は「各人に責任の一端があり、経営は全職員の仕事の一部である」ことを説いて回りました。その上で「病院の将来の青写真を示し、不安を一掃」、「各人がやるべきことを明示」、「すべての情報をオープンにして、疑心暗鬼を払拭」する手立てを打って、危機を乗り越えていったといいます。

―利益をつくるのは現場~チーム経営―
以下は講演の中から、キーワードとなるような『古城語録』を紹介します。
『貸借対照表は経営者の責任、損益計算書は職員全員の責任。利益をつくるのは現場で、伯鳳会はチーム経営』
『人事制度の目的は、人件費抑制や競争を煽るものではなく、法人の経営向上にある。そのためには、職員の満足度の高い制度を構築すべき』
『集団はエリートだけでは成立しない。集団の成果とは、非エリートがどれだけ頑張るかであって、それには善意と努力を評価する風土であるべき』
『医療・介護は狩猟型の事業ではなく、農耕型の事業である。チーム医療は宝塚のようなスターシステムではない』

ニュース