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第9回 医療の質・安全学会レポート④ ~国際学会~

医療の質・安全学会主催による「第9回学術集会」では、
International Forum on Quality and Safety in Healthcare,Japan2014(国際医療の質・安全フォーラム)が11月24日(月)に千葉市の幕張メッセで開かれました。このなかで、滋慶医療科学大学院大学の江原一雅教授、笠原聡子講師と修了生の小川正子さんがそれぞれ、研究発表を行いました。以下に、発表者、演題名、要約を紹介します。

江原一雅 教授
Changes in the Mortality Rate of Patients with Unpredicted Deterioration -Analysis from Adverse-Event Reports
予期せぬ急変事例の死亡率の変化-有害事象報告からの検討-

江原先生(編集)江原等は2004年に、神戸大学病院において有害事象報告・検証システムを構築した。また、院内救急救命に関して、コードブルーシステムの整備、院内職員に対する除細動および救命処置の教育、緊急対応本研究において、2013年までの10年間の有害事象報告559件のうち予期せぬ急変事例報告106件に関して、介入効果と予後に関する調査を神戸大学病院と共同して行った。
その結果、院内発症の予期せぬ急変事例の死亡率は47%と有意に他の有害事象の死亡率(22%)より高くなった。有害事象の死亡率は最近の5年間は初期の5年間に比べ、有意に死亡率が低下した。その中で予期せぬ急変事例の死亡率も44%から42%と若干ではあるが低下した。原因疾患として呼吸器系に起因するものが最も多かったが、それらの事例の救命率は向上した。次いで、循環器系に起因するものは、依然として死亡率が高かった。               したがって、心肺停止に至る前に対応するいわゆる急変迅速対応システムの整備が必要であると考えた。

笠原聡子 講師
Extracted Patterns of Screen Transition Associated with Collecting Information on Nursing Tasks -Through Secondary Use of Electronic Medical Record Access Logs-
看護業務における情報収集に関連した画面遷移パタンの抽出 —電子カルテアクセスログの二次利用—

笠原先生(編集)病院情報システムへのアクセスログデータから、看護師の情報収集に関わる電子カルテ画面閲覧パターンを抽出し、その特徴を明らかにするために構造モデル分析を行った。
看護師の情報収集における画面閲覧パターンは全53種類で、うち13パターンで全体の約72%を占めており、多様性はあるものの典型的なパターンがあることが分かった。             看護師は1回の情報収集で約4画面を閲覧しており、閲覧時間も3分と、少ない画面から短時間で効率的に情報収集を行ってた。情報収集に使用された画面は全16種類であったが、そのうち主要5画面で閲覧件数と時間の約98%を占め、中でも2画面(カルテ歴, 経過表)が中心的役割を果たしていた。                 ベンダーは、経過表を看護業務のHUB的画面、つまり中心的役割を担う画面であると位置づけて設計を行っている。しかしながら、看護師の実際の使用状況においては、経過表がより中心度の高い画面であることが示された。また、画面間のリンクにはシステム設計の段階からある既存のものとユーザーによるカスタマイズによって後付けされたものがあったが、関連の強いリンクのうち3分の2以上が設計時点では想定されていないリンクで、実際の使用とのギャップが明らかとなった。
このように計画段階の仕事の仕方と実際の仕事の仕方には違いがあることが明らかとなった。しかしながら、そのギャップを理解し、システム設計側によるシステム構造の改良やシステム利用側による使用方法の工夫などを図り、これらのギャップを埋めていくことが、医療の安全性の担保や質の向上において重要であると考え。

小川正子さん(2期生、専門学校教員)
The Current Status of Weight Control among Japanese Chronic Hemodialysis Patients
日本の慢性血液透析患者における体重管理の現状

小川先生2(編集)安全な透析医療を提供するためには、患者自身の役割も重要である。特に慢性血液透析患者は、透析日間体重増加を管理するために、水分摂取をコントロールする必要がある。本研究は、患者への適切なガイダンスを考えるために、慢性血液透析患者の透析日間体重の現状を調査した。
透析日間体重増加により、水分摂取のコントロールが不良な患者が良好な患者の3.5倍存在することが分かった。さらに、水分摂取のコントロールが不良な患者の透析日間体重増加上限からの増加率により、調査期間中1回のみ増加した患者と、全回(12回)増加した患者の増加率を検討した結果、1回のみ増加した患者の増加率は非常に小さかったものの、全回増加した患者の増加率は大きく、かつ透析日間で異なる傾向が見られた。                    透析日間体重の増加があり、かつそれが毎回である患者に対しては、水分制限の一律的な指導ではなく、透析日のスケジュールを考慮したアプローチが安全な透析治療につながるのではないかと考えた。

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