トップ > ニュース > 医療安全教育の実態調査 ~医療安全実践教育研究会第2回学術集会で報告~

医療安全教育の実態調査 ~医療安全実践教育研究会第2回学術集会で報告~

実態調査① 本学の池西悦子教授らは、医療機関における職種横断型教育の現状と課題を探るため、医療安全教育に関する実態調査研究を実施し、平成27年1月25日に大阪大学中之島センター(大阪市北区)で開催された「医療安全実践教育研究会第2回学術集会」において報告しました。この研究は池西教授の他、武田裕教授、江原一雅教授、飛田伊都子准教授、小野セレスタ摩耶専任講師、山下哲平助教による共同研究として実施されたものです。

―職種横断型教育の実態を明らかに―
実態調査②研究の目的は、医療機関における卒後教育の実態を明らかにすることです。わが国の医療安全教育においては、世界基準のガイドラインを参考に、医療に携わる全員が職種・職位を越えてシステマティックに医療安全に取り組むことが喫緊の課題となっていますが、その現状を調査しようというものです。調査は全国の300床以上の医療機関を対象に、平成25年12月~26年1月に実施し、138施設から回答を得ました。

医療機関において、医療安全に関連する研修の年間実施回数は「2~5回」が67件(49.6%)と最も多く、次いで「6~10回」が22件(16.3%)、「21回以上」が21件(15.5%)で、平均は11.7回でした。また医療安全教育活動の年間実施回数では、全体の3割程度が月に1~2回実施している一方、約3割では実施していない可能性も認められました。

―最重要項目はリスク管理、次いで投薬の安全確認―
教育内容25項目の中で実施が最も多かったのは「リスク管理」で、79%の施設が行っていました。このリスク管理は、最重要項目として位置づけられている割合も高くなっています。次いで多いのは「投薬の安全確認」「感染管理」「インシデントの認識、報告、管理、活用」となっています。逆に少ない項目は「医療の継続性の実現」「診療や業務の適切な維持」でした。しかし、これらの項目は「患者と家族の医療への参加」とともに、多くの施設が重要項目と認識していました。

―講義が多いが、グループワークも―
教育方法では、講義形式が多くの項目で採用されていました。指導は自施設の職員が担当している割合が高く、教育担当者の専門領域は医療安全を専門とする場合が多いという結果でした。また「リスクについてのコミュニケーション」「リスク管理」などではグループワークも行われていました。

―医療機関により格差、まだ十分とは言えない―
実態調査③調査を通じて、医療安全教育の研修や活動の実施回数など、医療機関によって差があることが明らかになりました。教育方法では講義形式での実施が多いものの、グループワークの活用も広がりつつあります。しかし、教育後に評価を行っているのは、最も高い項目でも6割程度であり、教育の定着や効果を測定するには至っていません。研修や活動の頻度、実施内容、方法など全般的に見てもまだ十分とは言えない状況にあり、医療機関における医療安全教育の難しさが明らかになりました。今後も調査データの分析をさらに進めて、医療安全実践教育の内容や手法等について提言を行っていく予定です。

ニュース