トップ > お知らせ > 滋慶医療科学大学院大学開学記念式典 東大の児玉教授に「わが国の医療安全の現状と今後の展開」の講演をしていただきました

滋慶医療科学大学院大学開学記念式典 東大の児玉教授に「わが国の医療安全の現状と今後の展開」の講演をしていただきました

医療の安全と質の向上をめざす日本初の実践的研究機関である滋慶医療科学大学院大学の開学記念式典が4月24日(日)、教育界や医療機関、企業の御代表ら約200人に出席いただき、ガーデンパレス大阪で開催いたしました。

開学記念式典

 大震災で犠牲になられた方々への黙祷、坂本学長の挨拶に続いて、来賓を代表して日本私立大学協会事務局長、小出秀文氏をはじめ、大阪大学副学長の門田守人氏、大阪府医師会会長の伯井俊明氏、大阪府看護協会会長の豊田百合子氏、日本臨床工学技士会会長の川崎忠行氏から祝辞をいただきました。

小出氏からは「25年にわたる医療職者養成の実績を礎に、日本で初めてとなる医療安全管理学の領域における意識改革およびシステム構築を行ないうるリーダーシップをもつ人材育成をめざすことは現代医療に求められる社会的、今日的要請に応えたものです。貴学の開学はわが国の新たな人材養成の拠点として大いなる地位を占めると共に燦然たる学校法人大阪滋慶学園の歴史を創造されるものと強く確信します」と祝辞を頂戴いたしました。

 このあと、武田研究科長の司会で医師と弁護士の資格をもち医療と安全に関する研究の第一人者でもある東京大学公共政策大学院の児玉安司特任教授に「わが国の医療安全の現状と今後の展開」と題して講演して頂きました。

小出秀文氏

児玉教授は医療にとって「信頼」こそが大切であり、過去の医療事故での弁護士としての対応経験などから、医療に対する社会的評価の最近の推移を示した上で、医療が「不確実性」や「不安定な技術」を抱える中で、信頼を回復するためには、リーダーが自らの言葉で方策を分かり易く述べることや、地域社会との信頼のコミュニケーションが大切だと指摘。「リスク・コミュニケーション」「リスク・マネジメント」「リスク・ファイナンス」の3つのテーマに沿って、コストと安全性の相関関係をはじめ、米国の産婦人科医が日本の医師の300倍以上の賠償責任保険料をかけている実態など日米におけるリスクマネジメントへの取り組みの違いなどについて解説されました。 
さらに児玉教授は、医療事故の事前予防のためには、情報収集とIT活用が不可欠であり、地道な努力と分析、さらに医科学、看護学、経営学、経済学、安全工学、心理学、社会学、法学など様々な分野の専門家が共に研究することが必須であるが、しかしこの10年、学際的な研究を行なう組織が成熟していなかったことが医療機関の悩みだったと訴えられました。
最後に、「大きな構造変化の中で医療が安全対策のモデルとして取り入れようとした原子力産業などの業界や、リスクマネジメントの最先端を行っていた様々な学会がいずれも国民の信頼を失って厳しい批判にさらされている。これからの新しい医療安全を考えるにあたっては、学際的研究は必須のものであり、専門家と市民の対話、情報提供と意思決定への参加などが問われる時代になっている。そうした中で、医療における新しい「安全科学」を恒常的、学際的に研究する機関として滋慶医療科学大学院大学が誕生したことは意義深く、この分野の橋頭堡あるいは大きな峰を築いていかれんことを大いに期待している」と結ばれました。

浮舟邦彦理事長からは「私たちは専門学校として医療人、福祉人を育成し、職業教育を通して社会に貢献しようということをミッションとしてやってきました。この大学院は卒業生を輩出している病院や福祉施設などの機関から安全・安心のことが分かっている人材が必要だとの話から文部科学省に申請し認可していただいた。産学連携の見地から関連する病院や企業との共同研究等々を含めながら、医療の安全・安心にベースをおいた研究者、教育者、現場での実践者を輩出してゆく見地でしっかりとやっていきたい。本日の講演をお聞きし、本学の存在の意義が益々明確になったと意を強くしており、医療の安全と質の問題はひいては経営問題でもあるということも痛感しました」と謝辞を述べました。

このあと記念祝賀会では、医療の質・安全学会評議員・大阪大学医学部附属病院教授で同病院中央クオリティマネジメント部長の中島和江氏や神戸大学医学部附属病院長の杉村和朗氏、大阪府立病院機構理事長の高杉豊氏らからも祝辞をいただきました。社会医療法人きつこう会理事長の小川嘉誉氏による乾杯のご発声で、参加者一同、交流を深めていただきました。

お知らせ