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No.07 IPWが患者安全とケアの質向上の鍵

教員による医療安全の提言シリーズ ⑦

IPWが患者安全とケアの質向上の鍵

滋慶医療科学大学院大学
教授(博士・人間科学)
田村 由美



 近年、「チームで取り組む医療安全・患者安全」が注目され、「チームSTEPPS(Team Strategies and Tool to Enhance Performance and Patient Safety)」と題する研修が広がりつつあります。「チーム STEPPS」は、患者安全とIPWの先行研究の成果に基づき、米国で開発された医療安全・患者安全と医療の質の向上を目指すチームトレーニングの方法です。

 複雑多様化した現代社会における医療現場では、複数の医療職者の協働がなくては成り立ちません。多くの異なる背景を持つ保健・医療専門職が、「interaction」(相互作用)し、「integration」(総合したケア・包括的ケア)を実施する」ことが重要となります。これをインタープロフェッショナル・ワーク(Inter Professional Work= IPW)といいます。

 また、チームは自然にあるものではありません。「医療安全向上チーム」「感染コントロールチーム」「栄養管理チーム」など、形式的にチームを構築すること以上に、チームとして創りあげる-「チームビルディング」していく-視点が欠かせません。そして、チームメンバー個々は、それぞれの専門性に加えてチームとして働く力が求められます。

 しかし、これまでIPWを目指して、チームトレーニングを意図的に学習してきた医療職は少ない。臨床の現場が高度化、複雑化している今だからこそ、複数の異なる職種によるチームとトレーニングが必要となります。これをインタープロフェッショナル教育(IPE)といいます。

 「チームSTEPPS」は、IPWを目指すIPEの具体的な教育方法の一つです。肝心なのは、この研修に参加した医療職が、チームで働く力を身につけてそれを医療安全・患者安全、ケアの向上の日々の実践活動に反映させることが大事となります。


重要ポイント
① 複数の医療職者による協働
② チーム力の創造と発揮
③ ケア向上を日々実践



田村 由美
教授
田村 由美 (たむら・ゆみ)
プロフィール

1956年生まれ、愛媛県出身。1979年松山赤十字看護専門学校卒、同年松山赤十字病院看護師。93年佛教大学社会学部卒、96年ロンドン・サウスバンク大学大学院保健福祉学研究科修士課程修了。香川医科大学医学部講師などを経て、05年神戸大学大学院保健学研究科教授、11年本学教授。12年7月早稲田大学で博士(人間科学)学位取得。
著書に「新しいチーム医療-看護とインタープロフェッショナル・ワーク入門-」(看護の科学社、2012年)他。


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