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坂本学長インタビュー
「薬学を強化―さらに教育内容を充実」

教員による医療安全の提言シリーズ(特別編)
坂本学長インタビュー
「薬学を強化―さらに教育内容を充実」

教員による医療安全の提言シリーズ(特別編)

坂本学長インタビュー「薬学を強化―さらに教育内容を充実」


 滋慶医療科学大学院大学は2011年4月に開学して、今春でまる2年となります。この間、「患者さんの安全と安心のために」をモットーに、医療の質・安全の向上を探求する大学院として、医療の安全管理に携わる高度な人材育成に取り組んでいます。3月には一期生が医療管理学研究科の修士課程を終えて、初めて卒業生を世に送り出します。坂本幸哉学長(大阪大学名誉教授・医学博士)に卒業生への期待、今後の教育方針など聞きました。





―わが国で初めて医療安全管理学の修士課程が創設されて、まもなく2年が経ちますが、この間を振り返っていただきますと。
「本学は運営母体の学校法人・大阪滋慶学園が約25年にわたって、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士などといった医療職者を養成してきました。こうした実績をベースに、幅広い知識と技能が要求される医療安全管理者という新たな人材育成にチャレンジした次第です」
「ただ、専門学校がベースで、大学を持たないところが大学院ということで、許認可は厳しかったわけですが、努力を重ねて要求をクリアできました」


―学生さんの学びの成果はいかがですか。
「とにかく学生が熱心なことが最大の成果でしょう。勿論、教授を中心に教職員の熱意が学生に伝わっている面もあります。現役の医師や看護師は朝から夕刻まで働いて、学生に切り替えて夜間の授業にやってきます。それだけに意欲、自覚、信念、好奇心が旺盛で、新しい学問に対する熱意、エネルギーとなっているのでしょう」
「昨秋の医療の質・安全学会において、本学の学生10人が電子カルテ、病院のセーフティーマネジャー、患者安全教育の日米比較、医療事故、医療裁判などをテーマにして、問題意識の高い研究発表を行い、一定の評価を得ました」


―授業などを通じて、大学院大学としての強み、独自性はどのようなことでしょうか。
「医師や看護師、臨床工学技士など医療現場の方、医療職を育てる教育現場の方、異なる職種の方々がグループワークなどを通じて、交流する機会が多い。日頃疑問に思っていること、課題をフランクに話し合うことで、問題解決に繋がります。そして、新たな問題意識を持つことで、医療の質を高め、安全の重要性をより認識するようになります。これによって、チーム医療の推進に役立つとともに、指導者のレベルを上げることにもなります」


―今春には一期生の24人が修士課程を終えて卒業の予定で、世に送り出しますが、何を期待されますか。
「まずは本人の自覚の問題が大切です。医療現場はますます高度化、細分化されて難しくなります。レベルが高くなるほど、ミスの機会が増えます。これを念頭において、自分たちがパイオニアとしての自覚を持ち、患者安全という強い責任感のもと、学びの成果を発揮してほしい」
「教育現場においては、基礎学問の大切さを説いてほしい。医療現場が高度化すると、教育レベルも高めていく必要があります。教育・指導者として、目的を持って自己研鑽に励んで、学生を指導するとともに自身の生涯教育にも努めて欲しい」
「物事は最初が肝心。それだけに一期生への期待は大きい」


―今春には三期生が入学します。この2年を見て、今後の教育での課題は何でしょう。また学生さんに望むことは。
「教授・教員には、医学、看護学、工学、法学、経営学、人間科学など様々な分野の方々(博士)が常勤で揃っています。このなかで薬学が抜けています。目下は非常勤の講師で対応していますが、今後は薬学分野を強化していきたい。クスリの安全は医療安全に欠かせません。薬学を含めて、さらに教育内容を充実させていきます」
「このように、医療安全管理学は実に幅が広い。まずは自らの担当領域の基礎をしっかりと身に付け、幅広い視野に立って関連領域を学んでほしい。言うなればスペシャリストでありながら、マルチ思考を目指して欲しい」


(聞き手・文責  大阪滋慶学園顧問 越智道雄)


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