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飛田准教授と一期生がICN豪州学会で発表

飛田准教授と一期生2名が研究発表 ―国際看護師協会 豪州学会―




ICN学会会場での本学の発表者、左から飛田准教授、中山さん、林さん

 国際看護師協会(ICN)の第25回学術大会がオーストラリアのメルボルンで開催(5月18日―23日)されました。滋慶医療科学大学院大学の飛田伊都子准教授と一期生(今春に修士を取得)の林知江美さん、中山昌美さんが研究成果を発表しました。この学会は、地域や個人に対する公平性とヘルスケアへのアクセスの重要性に焦点を当てています。4年ごとに開催され、今回は120カ国から約4000名の看護職者が参加して「人々の保健医療への平等なアクセスと質を保証するエビデンスをいかに看護職が明示できるか」について熱心な議論が交わされました。日本からは204名が参加して、60演題(本学からは3演題)を発表しました。



質問に答える林さん

―深夜勤は生理心理的負担が大、疲労感が残る―

 まず、林さんは「病院看護師の日勤と夜勤における生理心理的負担」をテーマに発表しました。(共同研究者:飛田伊都子、クリスチャン・ミューラー、中迫勝、蛯原桂子、山田利惠)
【発表要旨】本研究は、三交代勤務をする病院看護師の日勤と深夜勤の生理心理的負担を明らかにすることを目的に行いました。具体的には33名の看護師を対象に、主観的評価(疲労感,イライラ感,多忙感)を調査するとともに血圧および心拍の計測を労働時間内に7回実施しました。結果、深夜勤には心拍の上昇がみられないことが明らかになり、サーカディアンリズムの影響を受けていることが示唆されました。また、深夜勤は患者が覚醒する朝方より作業量が増加し、それに伴い心拍や拡張期血圧、主観的評価が急増し、労働による生理心理的負担が大きくなることが明らかとなりました。更には、勤務時間内の労働が終了した後でも疲労感が軽減しないことが判りました。(受講者との間で、日本と欧米との看護師の勤務シフトの違いで議論が展開されました)



真ん中が中山さん、会話が弾む

―ワークライフバランスは組織的対応が必要―

 中山さんは「病院看護師のワークライフバランスに関する調査」をテーマに発表しました。(共同研究者:髙橋弘枝、飛田伊都子、中迫勝)
【発表要旨】本研究は、病院で勤務する看護師のワークライフバランスの実態を明らかにすることを目的に行いました。具体的には、ワークライフバランスの向上を目的に子育て支援策を導入しているA病院の全看護師を対象に質問紙調査を実施しました。その結果、子育て支援策を受けている看護師と受けていない看護師の認識に相違がみられました。特に、職場環境や個人生活に関する事項および支援策に対する理解に関する事項においては、支援策を受けている看護師の方が認識や理解が良好であることが明らかになりました。したがって、子育て中の看護師のみならず全看護師が個人生活や社会生活を良好に保ちながら労働を継続できるよう組織的取り組みの必要性を示唆しており、ワークライフバランスの改善に繋がることが考えられます。(受講者からはワークライフバランスという大きな概念での調査が評価されました。また、労働観の違いで議論を交わしました)
 林さん、中山さん、ともに国際学会での発表は初めてで「様々な人種が集まり、前夜祭では民族衣装が華やかで、まさに看護師のオリンピックの様相」との感想を楽しげに語っています。学術発表になると、真剣そのもの。「ポスター発表やプレゼンテーションを通じて、図表やデザインなど表現方法に学ぶところが多くありました。いろんな国の看護師と情報交換や意見発表を通じて、研究活動の意義を再認識しました」と学びの継続を誓っていました。次回もチャレンジしたいとのことですが、「英語力の向上」が課題のようです。

プレゼンを終えて、思わずにっこりする飛田准教授(右)

―過剰な筋疲労のリスク~適切な労働管理が必要―

 飛田准教授は「病院看護師の日勤と夜勤における身体的負担」をテーマに発表しました。(共同研究者:中迫勝、トーマス・ロイブリー)
【発表要旨】本研究の目的は、三交代勤務をする病院看護師の日勤と深夜勤の身体的負担を明らかにすることです。具体的には23名の看護師を対象に、筋電計および動作分析計を装着し通常の日勤および深夜勤業務を遂行し、勤務終了後にデータ回収を行いました。結果、静的作業下において筋緊張が増強することが明らかになり、またリラックス時や加重負荷の労働時には筋負担に左右差が生じることが判りました。これは労働による過剰な筋疲労の危険性を示唆しており、適切な労働管理が求められます。(受講者からは計測方法に反響があり、工事現場など他の職種との違いはどうなのか―など、応用にも関心を示していました)



ICNのインタビュー取材に応じる飛田准教授

―飛田准教授が急遽、取材を受け、ICNから評価、有名人?―

 また、会期中にICNの関係者から飛田准教授にインタビュー取材が舞い込むというハプニングがありました。ICNのブースでの会話で、飛田准教授の日常の研究テーマ「透析患者に対する運動プログラムによるチューブトレーニング」が注目され、急遽インタビュー取材を受けました。患者や高齢者に対するトレーニングの普及活動を紹介すると、ICNから「簡単な道具(安価)で多くの人が利用できるのはすばらしい」との評価を得て、話題となりました。


 【注】国際看護師協会(ICN)
 各国の看護師協会からなる組織で、136カ国が加盟しており、保健医療専門職団体として最大規模。日本看護師協会も加盟している。1899年に設立され、114年の歴史がある。「世界の看護を一つにする」「世界の看護師と看護を強化する」「保健医療政策に影響を及ぼす」という3つの重点目標を掲げている。すべての人々に質の高い看護を提供するため、尊敬される、有能な看護人材の育成を目指している。また、「先見性あるリーダーシップ」「包括性」「柔軟性」「パートナーシップ」「達成力」の5つを基本的な価値観として、行動している。

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