トップ > ニュース > 第2回の公開授業を開講しました。

第2回の公開授業を開講しました。

 滋慶医療科学大学院大学は、オープンキャンパスの「第2回公開授業」を8月4日(日)に実施しました。4人の教員がそれぞれ20分程度の授業を行いました。以下に要約を記します。

―医療安全管理学の必要性―
武田研究科長 武田裕医療管理学研究科長が「受験に当たって」として、大学院の概要について説明しました。このあと、医療安全管理学の必要性について、「安全は危険の対語ではない~医療安全は事故による傷害のない状況をつくり上げる」、「持続的な医療安全文化の醸成と安全行動~テクニカルスキルとノンテクニカルスキルを備えた中核人材の養成」、「技能・知識は恒常的に継承、発展~医療安全に係わる学問の体系化」「学際的(医学、工学、認知学など)アプローチによる実践教育・研究~既存の大学・学部の延長では構築できない」―など、医療だけでなく、心理学、人間工学、経営学など多職種の教員、院生が集まっている本学の特徴を説明しました。
(詳しくはホームページの武田学長のメッセージインタビューをご覧ください)

 今回は「ヒューマンエラーはなぜ起こるのか」を共通キーワードにして、石松一真准教授は認知心理学の観点から、笠原聡子専任講師はストレスの観点から、江原一雅教授はマネジメントの観点から、それぞれの専門分野を紹介しました。

―人間の特性を知ることが大事―
石松准教授 石松准教授(安全心理学担当)は、ヒューマンエラーの解明に当たっては「人間の特性(情報処理特性)を知った上で、エラーの発生に影響する要因を特定して、対策を立てる」という基本を説きました。
 失敗の例として、「知人だと思って話しかけたら他人だった」というのと「手術患者と思っていたら、別の患者だった」とでは、ともに勘違い・見間違いだが、結果は全く異なる、など具体例を挙げて説明しました。
 医療、交通、産業など作業現場(職場)で起こる事故について、人間サイドには「うっかり、見間違い、勘違い、取り違い、思い込み、やり忘れ」など共通要因があります。人は外界から情報を得て(知覚)、得た情報を解釈(認知・判断)して、行動を選択しています。人の情報処理過程では、必ずしも外界が忠実に再現されるわけではなく、処理された結果が外界の情報と著しく異なる場合もあります。「この解釈に基づいて、行動が選択された際には、ヒューマンエラーを引き起こす可能性が出てくる」と石松准教授は説いています。
 こうした「人の認知・行動のメカニズムを学んで、院生同士のグループワークなどを通じて、問題を解決する独自の視点を身に付けてほしい」という。
(詳しくは「安全な医療」のNo830をご覧ください)

―ストレス要因とエラー要因には共通性―
笠原専任講師 笠原専任講師(ストレスマネジメント担当)は、事故を引き起こすヒューマンエラーには「状況要因、個人要因、ストレス要因があります」という。そして、「ストレス要因とエラー要因には、共通性が高い」と指摘しています。
 また、「ストレスとは」、「マネジメントとは」、それぞれの理論を学んで、「ストレスマネジメントが成立する」わけです。医療安全のなかで、ストレスマネジメントを考える意義を追究していくのが、授業の目的となります。
 マネジメントでは、「測定できるものは管理できる」(ピーター・ドラッカー)と言われ、「測定できたら、予測が可能」というのが、マネジメントの第一歩だという。また、主なストレス理論としては、生物レベル(セリエのストレス学説)、心理レベル(ラザルスの心理学的ストレスモデル)、組織レベルを学んでいきます。
 特に組織レベルでの「職業性ストレス」では、仕事上の要因、個人的要因、仕事以外の要因などによって、心理面、生理面、行動面で表れて作業能力の低下(場合によってはエラー)をもたらす。
 こうした、ストレス、マネジメントの理論を学んで、ストレスマネジメントを身に付けることが医療安全を確保していく上で、重要となります。
 (詳しくは「安全な医療」のNo223をご覧ください)

―エラーとは~意図の達成と行動の失敗―
江原教授 江原教授(医療セーフティマネジメント担当)は、WHOの患者安全カリキュラムガイドラインの多職種版(患者安全とは何か、ヒューマンファクターと医療安全、エラーからの学習など11項目)を紹介。
 エラーとは「意図された結果を達成するための予定された行動の失敗」などの定義を説明。そして、エラーの発生要因としては、「短期に記憶できる量の限界、タスクに慣れていない、時間が足りない、チェックが不十分」などで、それに疲労、ストレス、空腹、怒りなどが増強因子となる、という。
 具体的なエラー例として「救急カートに配備されている医薬品AとBの取り違い」を挙げて、その原因は「AとBの形状が類似しているのに加えて、隣りに配置されていた」と理由を説明。改善策として「形状や薬効、劇薬別に配置を変更する」ことで、エラー防止に努めたという。
 (詳しくは「医療安全」のNo1337をご覧ください)

ニュース