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④医療セーフティマネジメント特論―江原教授

江原教授

 医療事故は、なぜ起こるのでしょうか? 

 人は誰でも間違えるものですが、どのようにすれば、エラーが減少するのでしょうか。医療の質を高め、患者安全をいかにして確保するか。医療安全管理学の最大課題とも言える「医療セーフティマネジメント特論」について、江原一雅教授(医療管理学研究科長、医学博士)に授業のポイントなど聞きました。

『医療安全文化を醸成』


―医療セーフティマネジメントとは、どのような学問でしょうか。

  「一言でいうと、『安全性を高める』ということです。エラーから学んで、エラーを防ぐ方法を考えて、対策を立てます。そして、ケアの質を高めること」「エラーとは、意図した結果を達成しようとして、予定した行動が失敗してしまう。とるべき行動と実際に行った行動がずれる。正しいことを行うつもりが間違って行う―ことなどです」
「意図しない傷害、過失のあるもの、ないものを含めて、有害事象を減らすことを追究していく学問です。本学では、ペイシェントセーフティ(患者安全)とリスクマネジメントの両面から学びます」

―授業の目的と学生に期待することは何でしょうか。

授業風景 「授業を通じて、知識プラス能力、それに行動力を身に付けて欲しい。能力には“考える能力”そして“問題解決能力”が要求されます。さらには“教育する能力”を養ってほしい。院生には自らリーダーシップを身に付けてもらうとともに、修了後には各職場でリーダーとなる人材を育ててほしい」「このため、座学で知識を学ぶ一方で、小集団によるグループワークとしてのディスカッションやロールプレーを採り入れています。例えば、エラー分析については時間をかけて繰り返しグループワークを行い、教えるレベルまで達成できればと思っています」

―本学ではリーダー人材を育成するのがミッションですが、リーダーシップの要件を幾つか挙げてください。

 「まずは“真摯”であること。チームで仕事をする場合、問題点を見つけて、話し合いしながら問題を解決する“調整能力”、コミュニケーションが大事です。エラーした場合、個人を責めることなく、“なぜ”起きたかの原因解明を優先して、改善に努める。また、想定外のことに対応する“柔軟性”を持っている。それに患者さんに対しては“公正”であること」

―授業では、航空パイロットのリスク管理法を紹介されています。

 「飛行機事故では、機材に起因するよりもヒューマンエラーが多い。飛行機の運航には、操縦士、副操縦士、整備士、管制官など多くの人が係わります。つまりチームワークが大事です。特にパイロットはリーダーシップをもって、指示、伝達などコミュニケーション力が必要です。これを“ノンテクニカルスキル”と呼んでいます。例えば、訓練では飛行中に渡り鳥の大群が飛び込んできたら、どう対応するか―など」
「こうした他業界での安全活動が、医療の世界に応用して導入されています。ほかにも、ものづくりでの品質管理、改善、5S活動、交通での指差し呼称など、医療の質の向上、医療安全を推進する上で学ぶべきことが多い」

―医療の安全文化を醸成していくことも大事ですね。

 「ギリシャの神殿に例えた図表を参照してください。最上部の屋根を4本の柱が支えています。最も大事なのが、安全を最優先にする組織文化の醸成です。それを支えるのが、ヒューマンエラーの防止策、ノンテクニカルスキルの向上、医療の質の評価と向上、患者参加による医療職との良好な関係です。これらを整えて、本学が目指す“医療の質・安全の向上を究める”ことによって、患者安全と安心が実現できます」


(「安全な医療」のNo1337及び江原研究科長のインタビューをご覧ください)

図表

医療安全管理学とは〜授業紹介〜