トップ > ニュース > 武田学長が講演~医療の質・安全学会で~

武田学長が講演~医療の質・安全学会で~

武田裕・学長の講演 医療の質・安全学会主催による「第8回学術集会」が11月23日―24日に、東京ビッグサイトで「チームで良くする医療の質、質を支える安全学」をテーマに開かれました。滋慶医療科学大学院大学からは、修了生、院生、教員17人が研究成果を発表しました。ここでは、武田裕・学長の講演を紹介します。


電子カルテの日米比較~武田学長

 「医療の質・安全と情報処理技術」をテーマにしたシンポジウムで、武田学長は『電子カルテシステムと医療の質・安全:日米の対比』と題して講演しました。世界的にカルテは「紙から電子に」移行していますが、その内容には差異があります。医療の質・安全の観点から、日本と米国を比較してみます。


―日本は事務主導、米国は事務と医療系は分離―

 医療IT化のプロセスで、日本は「事務主導」で診療報酬請求の効率化を目標に始まりました。病院情報システムで(HIS)では、医事会計システムから始まり、オーダリングシステム、部門システム、PACSを経て、電子カルテが普及しています。米国は「事務と医療系は分離」。皆保険制度がなく、帳票による還付請求が主流でしたが、電子的保険請求制度が定着してIT化が進みました。医師による発生源入力よりは、検査データの迅速報告など診療情報活用や疾病管理、データ二次利用への関心が高まりました。

  

―日本はカスタマイズ、米国は標準化―

 機能と形態をみると、日本は調達・運用の効率化から「単一ベンダー」による構築となって、メーカー独自、さらには病院主導による「カスタマイズ」が多い。データ互換性、相互運用など標準化技術が課題。米国は部門別導入が主流で、互換性を確保する「標準化技術」が進みました。また“meaningful use ofEHR”(MU)を展開中で、大きな変革が起こりつつあります。


 医療の質・安全の観点からみますと、日本は施設ごとに仕様が異なり、国レベルでの質・安全に対する要求水準がありません。米国はMUによる医療の質向上を明示しており、公的医療保険機関によるインセンティブ支払いの一方で、応募時に臨床指標など電子報告を義務付けています。個人情報保護の観点からみますと、日本は共通番号(マイナンバー)法の個別法を検討中で、医療個別法的役割として期待されています。米国は医療用には国レベルでの制度化はありません。


【日米の電子カルテの比較】

  日本 米国
仕様 複雑・完成度高い 比較的単純
利用目的 施設ごと 国レベル規定
質・安全貢献
認定制度 なし あり
電子報告 なし 必須
優遇措置 なし あり
ペーパーレス 可能 報告あり
相互運用 不可能 検討中

―米国モデルを参考に、変革が必要―

 こうしたことから「わが国の電子カルテは、効率化を目的に始まりましたが、役割を真に診療情報記録の一次利用(データ共有)と二次利用〈データ活用〉の役割を果たすための変革が必要です」「米国のインセンティブ付与による標準電子カルテの普及と電子報告の義務付けは参考となるモデルです」「IT起因事故への国レベルの取り組みが緊急課題です」と、結ばれました。

ニュース