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第4回の公開授業を開講しました。

 滋慶医療科学大学院大学は、オープンキャンパスの「第4回公開授業」を12月8日(日)に実施しました。今回は3人の教授が「医療倫理」「医療材料」「医療事故」について、それぞれの担当授業を紹介しました。以下に要約を記します。

―多職種連携教育に注力―
武田裕学長 武田裕学長(教授)は、「患者さんのための医療安全を学問にして、実践のための科学的体系をつくりあげる」という本学の設立趣旨を述べて、「受験に当たって」と題して、大学院の概要について説明しました。

 このあと、医療安全管理学について、「医療安全は事故による傷害のない状況をつくり上げる」、「持続的な医療安全文化の醸成と安全行動には、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルを備えた中核人材の養成が課題」、「技能・知識を継承、発展させるには、医療安全に係わる学問を体系化する」などの必要性を説きました。

 また、「学際的アプローチによる実践教育・研究によって、多職種の幅広い知識とスキルを身に付ける必要があります。医療安全には多職種によるヨコの連携が重要です」―など、医学や看護学だけでなく、心理学、人間工学、経営学など多職種の教員、院生が集まっている本学の特徴を強調しました。
一方、「本学では『医療安全実践教育研究会』の設立準備を進めています」と、新規活動にも触れられました。これは多職種連携による教育に注力している本学の特徴を生かして、医学、看護学、薬学など学際を横断的に結ぶ教育方法論を究めるのが目的です。
(詳しくはホームページの学長インタビューなどをご覧ください)

―患者さんにとって、ベストとは何か~倫理モデルを学ぶ―
土屋八千代教授 土屋八千代教授は、医療倫理学特論について「倫理の中には、生命、医療、先端医療、臨床、ケア、環境など、それぞれの視点に立って考え、総合的に判断する能力を身に付けてほしい」と学びの基本を説かれました。

 医療者において、医師の立場、看護師の立場など立場の違いによって「ディレンマに陥るケースがあります」。それは、倫理的、個人的、文化的、宗教的、法的、専門職として、様々な観点からの「価値観の違いや価値観に反するときに葛藤、ディレンマが生じます」という。例えば、終末期の患者さんへの治療をめぐって「医師はキュア(医療)を優先するが、ナースはケア(看護)を大事にします」というようなケースがあります。

 組織の中には多くの集団・グループがあります。「ナースの地位が上がるにつれて、他のグループとの倫理的衝突は増えてきます。昔は医師の指示に従っていればよかったわけですが、言われたことをやるだけでなく、自らの判断が必要になるケースもあります」。要は「患者さんにとって、ベストになることは何か」を常に考えるべきだという。

 医療行為は法的な行為であり、専門職として法と倫理の関係で、どのように調整するか」などについては、判例、事例など「倫理的意思決定モデルを学んで、判断力を養います」と学びのポイントを説かれました。
(詳しくは、「医療安全管理学とは」①、「安全な医療」NO929をご覧ください)

―医療材料はチーム医療にもつながる―
岡崎正之教授 岡崎正之教授は、医療機器材料安全管理学特論について「医療材料は全ての医療者に関係しています。学際領域にまたがり、チーム医療にもつながります。素材の知識を学ぶことで、医療の安全を実践、安心社会を築くことになります」と、医療安全の観点から材料知識の必要性を強調されました。

 医療汎用材料としてのマスクの材質は、ガーゼやポリエステルがあり、用途も手術用から花粉症対策、防塵用など様々。注射器はヒヤリ・ハットのケースが多いので、より安全に注意する必要があります。薬については、カプセル素材の中で硬タイプと軟タイプがあります。

 医療機器・材料分野では、工学と生物学の融合が進んでいます。工学はマクロからミクロ、ナノ、原子・分子の方向に流れており、生物学は逆の流れになっています。この融合によって、高度先進医療に結びついています。

 バイオマテリアルに求められる性質は、耐久性、安全性、安定性です。医療材料は数多く出ていますが、材料を集約しますと、セラミックス、金属、プラスチックの3種に分類できます。「この3種の性質を知っておくことが医療安全にとって、大事なこと」です。

 ところで「皆様は働きながら、忙しい時に大学院に目を向けるのは素晴らしいこと。心身ともにリフレッシュ、人生のプラスになるチャンスと思って、チャレンジしてください」と参加者にエールを送られました。
(詳しくは「安全な医療」NO32をご覧ください)

―手術室の事例を学び、事故を減らす―
木内淳子教授 木内淳子教授は、医療リスクマネジメント学特論について「医療事故発生時に医療者としての対応を学びます。特に医療事故が紛争化し、さらに訴訟に至るプロセスを知ることで、医療の質と安全性の向上のために行うべきことを学びます」と、事故対応の学びを説かれました。

 医療事故で、あるデータによりますと、診断によるケースが26%、手術が24%、産科が7%、薬剤が5%などとなっています。つまり手術室での事故が四分の一を占めるわけです。「手術室の事例を研究、学ぶことは医療事故を減少させる意味でも大事なこと」です。最新の判例などを研究して、適切かつ安全な医療を行うことが大切です。

 医療事故の定義ですが、過失あり・医療過誤の場合でも、不可抗力・過失なしでも、事故は事故となります。広い範囲で事故と呼んでいます。“事故”が起きて、患者さんが納得しない場合は“紛争”となり、当事者間で解決できない場合は“訴訟”となります。平成24年には民事訴訟で700件となっています。裁判所で決着を見るわけです。社会の判断として、社会がどういう基準で判断しているか、「医療現場を社会の目で見直すことも大事なことです」と、事故の事例から得る教訓の大切さを説かれました。
(詳しくは「安全な医療」NO1440をご覧ください)

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