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オープンキャンパス「第5回公開授業」を1月19日(日)に実施しました。

 滋慶医療科学大学院大学は、オープンキャンパスの「第5回公開授業」を1月19日(日)に実施しました。今回は3人の教員が「リハビリテーション」「医療への患者参加」「ソーシャルワーカー」について、それぞれの担当授業を紹介しました。以下に要約を記します。




―多職種連携教育に注力―


武田学長

 武田裕学長(教授)は、医療安全の歴史的プロセスとともに「患者さんのための医療安全を学問にして、実践のための科学的体系をつくりあげる」という本学の設立趣旨を述べました。そして「受験に当たって」と題して、大学院の概要について説明しました。

このあと、医療安全管理学について、「医療安全は事故による傷害のない状況をつくり上げる」、「持続的な医療安全文化の醸成と安全行動には、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルを備えた中核人材の養成が課題」などと述べました。そして、『医療安全の基本は、品質管理上の問題として捉えて、標準化(バラツキをなくす)していくこと』と経験に基づく持論を展開しました。

また、「学際的アプローチによる実践教育・研究によって、多職種の幅広い知識とスキルを身に付ける必要があります。医療安全には多職種によるヨコの連携が重要です」―など、医学や看護学だけでなく、心理学、人間工学、経営学など多職種の教員、院生が集まっている本学の特徴を強調しました。
(詳しくはホームページの学長インタビュー、Newsの2013、12,13などをご覧ください)




―健康寿命と平均寿命の期間差が問題―


米延策雄教授

 米延策雄教授(リハビリテーション安全管理学特論)は、リハビリテーションの定義(WHO)・概念を説明するとともに、リハビリテーションの意味が大きく変わってきていることを説明しました。

障害者のケアは中世ヨーロッパの「養老院」や「孤児院」などの支援施設にその歴史的展開を見ることができます。障害者支援という点では、十字軍(1096年―1099年)など、戦争との関連が深く、日本でも日露戦争のあと廃兵院法ができました。そして、米国が第一次世界大戦に参戦した1917年に初めて“リハビリテーション”という言葉・概念が使われた、という。それが、今日では介護の世界を含めて、リハビリは広く、浸透している、と述べました。

 一方、現代は世界的に平均寿命が延びて、長寿化社会を迎えている。平均寿命と健康寿命(日常生活に制限がない)との年齢差を例に出して、健康寿命のあと平均寿命まで男性は9,2年、女性は12,8年あります。この期間は何らかの介護を要し、個人、社会にとって大きな問題。「キュア(治癒)とケア(介護)を複合させる医療の時代になってきます」と指摘しています。

 また、全人口に占める65歳以上の高齢化率について、1950年は4,9%だったのに、2010年は23,1%となっている。介護が必要になる原因には、脳卒中、認知症、関節疾患、転倒・骨折などがあります。「運動器の健康が大切で、“ロコモ・チャレンジ”、歩こう一日8千歩」を提唱しています。
(Newsの2013、11,8、安全な医療No31をご覧ください)




―医療者主導から患者主導の医療へ~過渡期―


飛田伊都子准教授

 飛田伊都子准教授は、「患者参加論」を正式な授業科目としているのは、日本で本学のみであるとした上で、授業のねらいは「患者が医療に参加する意味」「患者に求められる行動」「医療者は参加する患者をどのように支援するべきか」の3点を挙げています。

 平成25年度の授業は8講義から成りますが、「医療被害を経験した当事者」や「患者さんの希望を叶える、革新的看護を実践している病院」など外部講師を交えて、「医療情報管理における患者参加」「医療安全と患者・家族参加型医療の関係」など、様々な視点から、患者参加の意義を説いています。

 そして、医療の姿勢、行動としての医療文化において、「“おまかせ医療”(医師の善意、秘密的、延命重視)から“自己決定医療”(患者の権利、情報開示、生命・生活の質重視)へと変わりつつある過渡期にある」と指摘しています。
 
 患者参加による自己決定医療では、医療者はインフォームドコンセントによって患者さんに「説明を聞いて、貴方はどうされますか」というように、患者さんに選択権が委ねられる。さらには、病気を治すだけでなく、「どのように生きたいか。場合によっては死に方まで含めた議論も今後の課題」と“生き方支援”の方向を示唆しています。

 さらには、患者さんの意思・主張を代弁によって、権利を擁護する“アドボカシーモデル”の方向も出てきています。医療者主導型医療から、患者主導型医療へと、「メイドインジャパンの患者参加型医療のあり方を考えていきたい」。さらに患者参加型医療の実現のために、「アカデミズムとして本学がなすべき役割はネットワーク形成に寄与すること」だと、結びました。
 (医療安全管理学とは②、安全な医療のNo2139をご覧ください)




―人と環境の接点に介入~ピームが大事―


小野セレスタ摩耶講師

 小野セレスタ摩耶講師(社会福祉学特論)は、医療ソーシャルワーカー(MSW)の仕事には「療養中の心理的・社会的問題の解決」「退院に関する支援」「経済的問題の調整・支援」など6つの仕事を紹介。

 そして、クライアント(患者・利用者)を生活者と捉えて、「生活の支援」をすることだという。生活とは「生きがい、QOL、生き様、人生の歩み方」と言えるが、「人々の生活は千差万別で、生まれ育った環境(家族構成、成育歴、宗教など)によって異なる」「生活者には病気、経済問題、人間関係、介護など様々な問題」を抱えている。従って、援助方法も多種多様となるが、「その人がどうしたいのか、を見極めることが大事」という。

 また、ソーシャルワークは「人と環境を一体として捉える」のが特徴。人は必ず何らかの環境(物理的環境、経済状況、家族、近隣・地域社会、就労環境、介護状況など)に取り囲まれて生活している。そこで、「人」及び「環境」にアプローチするとともに、「人と環境」との接点、「この3者に働きかけるところに特徴がある」という。

 MSWの役割は「患者さんの病気が治っただけ、退院後の生活環境が整っただけでは解決と言えない。“人と環境との接点”に介入できて問題が解決できる。さらには、長期的視点で患者さんの生活をマネジメントしていく“ピーム”という考え方が重要」との見解を示しました。
(安全な医療のNo425をご覧ください)

(注)ピーム=PEIM:Person-Environment-Interface-Management 人と環境のインターフェース・マネジメント

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