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オープンキャンパス「第6回公開授業」を実施しました。

 滋慶医療科学大学院大学は、オープンキャンパスの「第6回公開授業」を2月9日(日)に実施しました。今回は3人の教員が「医薬品安全管理学」「医療機器材料安全管理学」「医療セーフティマネジメント学」について、それぞれの担当授業を紹介しました。以下に要約を記します。




―多職種連携教育に注力―


武田裕学長(教授)

 武田裕学長(教授)は、医療安全の歴史的プロセス(わが国の医療安全対策10年の歩み)を説明するとともに、「患者さんのための医療安全を学問にして、実践のための科学的体系をつくりあげる」という本学の設立趣旨を述べました。そして「受験に当たって」と題して、大学院の概要について説明しました。

その中で、医療安全管理学について、「医療安全は事故による傷害のない状況をつくり上げる」、「持続的な医療安全文化の醸成と安全行動には、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルを備えた中核人材の養成が課題」などと述べました。そして、『医療安全の基本は、品質管理上の問題として捉えて、バラツキをなくすこと』と経験に基づく持論を展開しました。

また、「学際的アプローチによる実践教育・研究によって、多職種の幅広い知識とスキルを身に付ける必要があります。医療安全には多職種によるヨコの連携が重要です」として、医学や看護学だけでなく、心理学、人間工学、経営学など多職種の教員、院生が集まっている本学の特徴を強調しました。
(詳しくはホームページの学長インタビュー、Newsの2013、12,13などをご覧ください)




―薬の視点で医療安全~くすりのリスク―


大石雅子

 大石雅子氏(4月に医薬品安全管理学・教授に就任予定)は「くすりのリスクを考える!」と題して、大学病院の薬剤部で勤務している経験をもとに、多種類の医薬品のリスクについて、写真、イラスト、図表を交えて分かりやすく説きました。

 薬は種類が多いうえに、次々と更新され、名前も外観も含めて類似品が多いため、「間違いが起こりやすい」。「医療安全の視点で薬の特徴を知り、どこにリスクがあるのかを明らかにして、安全に管理する手法を学んで欲しい」と授業のポイントを述べました。

「医薬品で ひやっと したことがありますか?」と問いかけると、「違う医薬品を手に取った」「分量やタイミングを間違えた」というケースが出てきます。その理由として「急いでいたから」「外観や形状が似ていたから」「うっかりして」などのヒューマンエラーが挙げられます。

 ヒューマンエラーは「スリップ」「ラプス」「ミステイク」「違反」に分類されます。大石氏は、スリップは「外観、名前の似た別物との取り違い。思い違い、確認ミス」。ラプスは「ナースコールに対応している間に、投与を忘れたなどのうっかりミス」。ミステイクは「副作用の可能性がある薬剤を処方したというような知識や経験不足によるエラー」。違反は「大丈夫だろうと思って手順を飛ばすなどのルール違反」―と例示して、「若手には適正な判断をするための知識の教育、ベテランには様々な事例を用いた教育が有効」だと強調しました。

 一般的にインシデントの4割以上は薬剤に関連するといいます。大石氏は薬剤に関するインシデントの具体例(同じ錠剤でもA病院では500mg、B病院では250mgを採用している場合、転院などによって分量間違いが起きる)を挙げて注意を喚起し、「くすりのリスクを十分に知って、薬の視点で医療安全を学んでいきましょう」と結んでいます。




―からだに優しい材料とは―


岡崎正之教授

 岡崎正之教授(医療機器材料安全管理学)は「医療機器材料から考える医療安全のマネジメント」と題して、授業を紹介。「医療機器材料に対する知識・技量不足によるヒューマンエラーが事故を招いている」として、医療機器材料の教育の重要性を説きました。

 そして、「何を学び 何を研究するか」について、医療機器材料の素材知識および臨床応用、材料の生体反応と生体親和性、生体材料(バイオマテリアル)の概念、医療機器材料に関する法規制―を挙げています。

 生体材料は、医用工学(メディカル・エンジニアリング)からと細胞工学(バイオテクノロジー)からのアプローチが必要で、人工臓器用材料、臨床化学分析用材料、医薬用材料、細胞工学・免疫工学・組織工学用材料があります。いずれも生体材料には、「安全性(生物)、安定性(化学)、耐久性(物理)が求められる」という。

 また、「からだに優しい材料とは」― 「毒性・為害性のないもの、生体親和性良好なもの(⇒生体材料)、生体組織そのもの(⇒再生医療)」だという。
 様々な医療機器・材料がありますが、「セラミックス、金属、プラスチック、この基本の3つの特性を知っておくことが大事なこと」と結びました。
(安全な医療NO32をご覧ください)




―記憶に頼らない、ダブルチェック―


江原一雅教授・研究科長

 江原一雅教授・研究科長は、「医薬品と医療機器の安全」の観点から「医療セーフティマネジメント学」の講義内容をもとに説明しました。

 医薬品の分類は「毒薬、劇薬、普通薬」に分かれ、危険薬とは「成分そのものの毒性が強い。投与方法のエラーで重篤な結果となる」と説いて、次のような事例を挙げました。

 ある注射薬(抗癌剤)について、医師は「1.2mg」の投与を手書きで指示しましたが、病棟での調剤の際、「12mg」を用意した。つまり、「小数点を見落として、結果として10倍を投与した」ことになります。同じ成分でも量の間違いで重篤な結果となる典型的なケースを提示しました。

 対策としては「全ての抗癌剤を登録制にして、プロトコールの審査体制の強化。薬剤部でのミキシング。実施前に投与計画書、注射処方箋、薬剤を並べてのダブルチェック」などが必要という。また、「記憶に頼らない。見えるようにする。プロセスをレビューして単純化、診療行為の標準化。チェックリストの活用」なども重要になります。

 また、医療機器の安全管理では「コンプライアンス(法令順守)、職員教育、エラー報告制度、取扱説明書のPDF化、臨床工学技士を中心とする横断的組織の強化」などが必要だという。
(安全な医療NO1337医療安全管理学とは④をご覧ください)

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