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「医療安全と医療訴訟」出版~本学教員4名が執筆

「医療安全と医療訴訟」(イムジック出版=発行、アトムス=発売) 「医療安全と医療訴訟」(イムジック出版=発行、アトムス=発売)と題する本が出版されました。滋慶医療科学大学院大学の武田裕学長、江原一雅教授、木内淳子教授、岡耕平講師の4名の教員がそれぞれ専門分野について、わかりやすく解説しています。医師と法律家、22名による共同執筆で、「医療安全への認識向上」、「医療訴訟の減少」を目指しての大作となっています。

 編集担当の安本和正・昭和大学名誉教授(ひたち医療センター病院長)は、序文のなかで「医療に携わる者が最初に銘記すべきは、安全な医療の実施。その指針となる書籍として、医師による医療安全とともに、法律家による医療訴訟の両面から解説する本書を企画した」と記しています。以下に本学教員の執筆の一端を紹介します。

 武田学長は「医療の安全性」(第Ⅰ編2章)と題して、主に日本と米国の医療安全に関する制度上の違いを論じるとともに、日本の課題について示唆しています。米国では、米国医学研究所(IOM)や合同審査機関(TJC)、公的医療保険センター(CMS)が果たしてきた役割について順を追って説明。中でも、医療保険による診療報酬償還によりインセンティブを与える方策(P4P)については、医療の質向上の観点から詳しく説いています。わが国も同様な制度を検討すべきという。
 日本の課題では「医療安全の学問体系の確立(医療安全学の構築)と、その教育を担う人材養成が急務」だとしています。

 江原教授は「ノンテクニカルスキルからみたエラー防止とチーム医療のトレーニング法」(3章)と題して、執筆。ノンテクニカルスキルの定義(Flin)、状況認識、コミュニケーション、チーム作業、リーダーシップなど7つのカテゴリーを説いています。また、英国アバーディーン大学のマニュアル、チームステップスの訓練、WHOの安全な手術ガイドラインとチェックリストを紹介しています。

 岡耕平講師は「心理学からみた医療安全」(4章)と題して、執筆。ヒューマンエラーの捉え方、事故に結びつく背景について、専門分野の認知心理学、人間工学の視点で独自の見解を説いています。コミュニケーションエラーについては実例を挙げて説明、「コミュニケーションは1人では成立しない。ヒューマンエラーは2者以上の間での齟齬が生じてのこと。齟齬の背景にどのような環境要因があったのか、人間側の要因と合わせて整理すべき」としています。

 木内教授は「医療紛争への対応」(5章)と題して、執筆。「裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律」(ADR法)が医療紛争に占める役割について、説明しています。医療事故が起きて民事訴訟となると損害賠償金の請求が争点となり、医療側から真摯な説明・対応を求める患者の要求が満たされない。ADRは医療側と患者側との対話を重視するので、金銭面以外の心理的・感情的な不満も一定解消できる―などメリットを説いています。一方で、訴訟の権利が失われる場合もある、という欠点もあります。
 

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